リオナ錠の特徴や注意点は?他の高リン血症治療薬との違いは?

新しい高リン血症治療薬

リオナ錠

が、2014年の4月に発売され、もう1年以上経過しましたね。
隣の病院では採用がなく一度も出してことありませんが、発売当時に従来の高リン血症治療薬との違いなど調べてまとめたのでブログにします。

まず、一般名が・・、

クエン酸第二鉄水和物。

・・・。

ん?フェロミア??

イヤイヤ、フェロミアは吸収されやすいように2価の鉄だからクエン酸第一鉄か。

紛らわしいですね。


んで、

この第二鉄は食事由来のリン酸と消化管内で結合し、不溶性のリン酸鉄を形成してリンの消化管吸収を抑制します。
食品添加物なんかに使われるクエン酸第二鉄とは異なる製法を用いており、
表面積を大きくすることで溶解性が向上し溶解速度が速く、酸性下及び中性下いずれの環境下においても溶解するので、効率的にリン吸着作用を発揮するそうです。

まぁ、この特徴は「うーん、そうなんだー。」と思いますが、

引っかかるのが、

第二鉄が還元されたら吸収されちゃうでしょ!

ってこと。


前に、
ネキシウムなどPPI長期投与で貧血が起こるのか考えてみる。
の中で、
『3価鉄(第二鉄)は、胃酸により溶解されて、食品中の還元物質や腸管上皮細胞表面の鉄還元酵素(Dcytb)により2価の鉄に還元され、十二指腸から空腸上部で吸収される。』
と調査済みですが・・。

資料によれば、
確かに還元されて吸収される鉄もあるそうですが、
何と98%は吸収されずにリン酸鉄として便中に排泄されたと報告があるようです。

まぁそれでも、血清フェリチンなど定期的に検査し、鉄過剰に注意が必要です。


そもそも

なぜ腎臓が悪くなると高リン血症になるの?

『腎臓には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなど電解質の生体バランスと濃度を一定に保つように調節する働きがあります。
腎機能が低下すると尿中へのリンの排泄が低下してしまうので高リン血症を呈します。



高リン血症になるとどうなるの?

腎機能低下。
  ↓
尿中へのリン排泄低下。
  ↓
高リン血症。→(*)リンがカルシウムと結合するため血清カルシウム濃度低下。
  ↓
リン利尿ホルモンであるFGF23分泌亢進。→リン利尿促進。
  ↓
活性型ビタミンDの産生低下。
  ↓
血清カルシウム濃度低下。
  ↓ +(*)
PTHの分泌亢進(二次性副甲状腺機能亢進症)。
  ↓
骨からのカルシウムやリンの流出促進。
  ↓
高カルシウム血症、高リン血症。
  ↓
カルシウム沈着による血管石灰化。
  ↓
狭心症や心筋梗塞のリスク増大


こういうメカニズムだったんですね。

ってか、高リン血症でリン利尿ホルモンの分泌が促進しても、
結局、リンが骨から流出してきてダメじゃん!
悪循環・・。


ってことで食事療法や薬が必要になるんですね。


従来の薬との違いは?

ポリマータイプのリン吸着薬であるレナジェル(セベラマー塩酸塩)では、便秘、腸管穿孔、腸閉塞などの重篤な胃腸障害がある。

ホスレノール(炭酸ランタン)では、悪心、嘔吐が多い。

カルタン(沈降炭酸カルシウム)では、食事の量が少ないと高カルシウム血症の原因になる。

リオナでは、これらの副作用が少ないが、レナジェルとは逆に下痢が多い。
↑の方でも言った通り、鉄過剰に注意が必要。
鉄キレート形成による相互作用にも注意。

リンとの結合力は3価の陽イオンが強く、
3価の陽イオンである第二鉄は、ランタンやアルミニウムと同等の結合力で、
2価の陽イオンであるカルシウムよりも結合力は強いようです。


参考資料:PharmaTribune2014年6月号。


ちなみに、骨ごと食べる魚、豆、乳製品などにリンが多いそうです。

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