カルシウム拮抗薬の歯肉肥厚(増殖)の副作用発現率は薬よって違う。

55歳女性、循環器科。

Rp1 アダラートCR(40) 1錠
    ブロプレス(8)    1錠
    1日1回朝食後    28日分

Rp2 カルデナリン(1)   1錠
    1日1回寝る前    28日分


「アダラートで歯肉肥厚ってあります?」

ー患者さんの状態ー
高血圧症で数年前からずっと同じ薬。今は安定してるとのこと。
併用薬はない。

薬情の副作用に歯肉肥厚と書いてあり新人君からの質問。

ありますか?と聞かれればあるんじゃないでしょうか。
患者さんから相談されたことありますか?と聞かれれば・・??

患者さん 「最近、歯茎が腫れて・・。」
私 「あぁ、このカルシウム拮抗剤のせいかもしれませんね。」

ないない。
この会話1回もない!!

ってわけで、カルシウム拮抗剤の歯肉肥厚の副作用ってどれぐらいあるのかちょっと調べてみましょう。

まずは、添付文書から。

アダラートCRは・・・、0.1%未満・・。
あぁ、もちろんLもカプセルも0.1未満
ついでに、ノルバスクも0.1未満

やっぱり少ないのね。
そりゃ、なかなか患者さんから相談されないわ。

他に、この副作用のデータないかな??
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おっ!

歯科治療を受けたCa拮抗薬の服用者1533名を対象として、17種類のCa拮抗薬による歯肉肥厚を調査した結果が道薬誌で紹介されてるよ。

一般名 商品名 発症率(調査結果) 添付文書
ニフェジピン アダラート他 7.7% 0.1%未満
ジルチアゼム ヘルベッサー他 4.0% 頻度不明
マニジピン カルスロット他 1.8% 0.1%未満
アムロジピン ノルバスク他 1.3% 0.1%未満
ニソルジピン バイミカード他 1.1% 0.1%未満
ニカルジピン ペルジピン他 0.5% 0.1%未満
他のCa拮抗薬 0%

ほうほう、このデーターを見るとニフェジピンの歯肉肥厚発症率が7.7%で多いような感じしますね。
カルシウム拮抗薬の中でなぜ発症率が違うのか不明ですが、ニフェジピンは歯肉溝滲出液中の薬物濃度が高いと報告があるようですね。


って、そもそも 発生機序は??

歯肉の線維芽細胞ではコラーゲンの合成・分解が行われていますが、カルシウム拮抗薬によりカルシウムイオンの細胞内流入が阻害されると、コラーゲン及びその他の細胞外基質の分解が抑制され、歯肉の増殖に至るとされています。

うーん・・、全然イメージがわかない・・。
歯茎にコラーゲンへばりついてるように聞こえるけど・・?
まぁ、まだ十分解明されてないそうなので、深く考えるのはやめておこう・・。


さて、予防や治療法は?

プラーク(歯垢)や歯石などの局所の刺激や炎症、口腔内の衛生管理状態の不備は増悪因子となるので、ブラッシング指導、歯石の除去、口臭のチェックなどの衛生管理も必要です。

ほうほう、この辺は歯科の受診を勧めた方がいいのかな。
薬剤師的には、薬剤の変更のアドバイスができそう。
カルシウム拮抗剤以外の薬への変更、あるいは上の表を基に歯肉肥厚の副作用の少ない薬剤への変更の提案ができるのではないでしょうか?

ちなみに、歯肉増殖と言えばフェニトインの方が圧倒的に有名ですよね?
そんなフェニトインの発症率って気になりませんか?
アレビアチンのインタビューフォームを確認したところ・・、

歯肉増殖の発現頻度は、50~70%との報告が最も多いが、0~84.5%と報告によりバラツキが多い。

おっと、カルシウム拮抗剤の比じゃないわ・・。

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