小児の抗生剤の味や用法用量のまとめ。ユナシンのコーラ風味って・・。

1歳4ヶ月男の子、小児科。

Rp1 ユナシン細粒10% 3g
    1日3回毎食後   5TD

Rp2 ビオフェルミンR  1g
    1日3回毎食後   7TD

Rp3 アンヒバ坐剤100 5本
    発熱時 
    38.5℃以上1回1本


「粉薬いつも嫌がるんだけど、この薬苦い?」

ー患者さんの状態ー
きのうから熱が出始めて、今日病院では39.2℃あった様。
先生からはのどが赤くすごく腫れていると言われたとのこと。
他の症状は今のところひどくは出てない。
体重10kg。
以前クラリスDSやワイドシリンなど服用歴がある。

ユナシン細粒ってコーラ風味だけど・・。
この時は、

「その子によって好き嫌いはあると思いますが、小児用の薬なので飲みやすく工夫されています。
ただ、溶かして時間が経つと苦み出てきますので、溶かしたらすぐに服用させてください。」


と返答。


なぜコーラ風味!?

小学生ぐらいの子には受けがよさそうですが、1歳児にコーラ風味って!!
言われた親もビックリしますよね。
さすが世界のファイザー!
まあ、結局コーラ風味とは言えません。

今回は小児用の抗生剤の用法や味、特徴何かをまとめときましょう。


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ペニシリン系

グラム陽性菌がメイン。大腸菌など一部のグラム陰性菌にも有効。
ただし、肺炎球菌、インフルエンザ菌などペニシリン耐性株も近年問題になってる。

薬品名 1日量 回数 備考
サワシリン細粒10% 20~40mg/kg
最大90mg/kg
3~4回 オレンジ 倍力価のワイドシリン細粒200がある。
ユナシン細粒
小児用10%
15~30mg/kg 3回 コーラ アンピシリンとβラクタマーゼ阻害剤のスル
バクタムを結合させた相互プロドラッグ。
クラバモックス小児用
配合ドライシロップ
96.4mg/kg
(0.15g/kg)
2回12時間ごと
食直前
ストロベリー
クリーム
ボトル製剤を使用する場合は1日量が
0.75mL/kgになるよう調製すること。



セフェム系

第3世代がメイン。第1、2世代に比べグラム陰性菌に対し強い抗菌力を有するが、
グラム陽性菌に対する抗菌力は減弱している。
ピボキシル基を有するメイアクト、トミロン、フロモックスは、低カルニチン血症に伴う低血糖に注意。

薬品名 1日量 回数 備考
セフゾン
細粒小児用10%
9~18mg/kg 3回 イチゴ 鉄剤との併用で約1/10まで阻害。
併用時は3時間以上あけて鉄剤服用。
メイアクトMS
小児用細粒10%
9mg/kg
最大18mg/kg(*)
3回食後 バナナ 耐性インフルエンザ菌に効果があり、
耳鼻科領域でよく使われる。
トミロン
細粒小児用10%
9~18mg/kg 3回 イチゴ グラム陽性菌に対しても、
アモキシシリンと同等の抗菌力。
フロモックス
小児用細粒100mg
9mg/kg 3回食後 イチゴ とてもに広い抗菌スペクトルと
強い抗菌力を併せ持っている。

(*)肺炎、中耳炎、副鼻腔炎の場合。それ以外は9mg/kg。


カルバペネム系

現在経口用カルバペネム系の薬剤は1剤のみ。
他の抗菌薬による治療効果が期待できない症例に限り使用する。

薬品名 1日量 回数 備考
オラペネム
小児用細粒10%
8mg/kg
最大12mg/kg
2回食後 イチゴ トミロン等同様ピボキシル基を有するので、
低カルニチン血症に伴う低血糖に注意。



ホスホマイシン系

単独では活性が弱いため他の抗生剤と併用されることもある。
シスプラチンなどの腎毒性薬物に対する腎障害軽減作用も報告されている。

薬品名 1日量 回数 備考
ホスミシン
ドライシロップ200
40~120mg/kg 3~4回 乳酸飲料 腸管への移行性に優れいるため、
腸炎などの感染症にも有効。



マクロライド系

14員環構造のエリスロシン、クラリスに抗炎症作用があり耳鼻科領域でもよく使われる。
マイコプラズマに対し強い抗菌作用を有していたが、近年耐性菌が問題となっている。
酸性のものと混ぜると苦みが増す。ムコダイン、ヨーグルト、スポーツ飲料、果汁のジュースなど。

薬品名 1日量 回数 備考
エリスロシン
ドライシロップW20%
25~50mg/kg 4~6回 バニラ 半減期が1.5時間と短く
服用回数が多い。
クラリス
ドライシロップ10%小児用
10~15mg/kg 2~3回 イチゴ エリスロシンに比べ酸に安定で
血中濃度が高く持続性。
ジスロマック
細粒小児用10%
10mg/kg 1回 オレンジ
パイナップル
3日間服用で7日間効果が持続。



テトラサイクリン系

Ca、Mg、Al、Feを含む薬剤や食品との併用により吸収低下。
8歳未満の小児では歯牙の着色・エナメル質形成不全、骨発育不全があるが、
5、6歳に3、4日処方であれば問題にならないとされている。

薬品名 1日量 回数 備考
ミノマイシン
顆粒2%
2~4mg/kg 1~2回 オレンジ マイコプラズマに対しマクロライド系で
効果不十分の場合切り替えて使用する。



ニューキノロン系

幼若動物において関節異常が認められているため小児に禁忌とされていたが、
耐性菌の問題や選択肢拡大のためオゼックスの小児適応が認められた。
Ca、Mg、Al、Feを含む薬剤や食品との併用により吸収低下。

薬品名 1日量 回数 備考
オゼックス
細粒小児用15%
12mg/kg 2回 細粒の適応症は肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽のみ。



小児の抗生剤まとめましたが、忘れてたことがいろいろ思い出せてとても勉強になりました。
復習しないと忘れますね・・。


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