鼻に噴霧するインフルエンザワクチン!?フルミストについて。

3歳6ヶ月女の子、小児科。

Rp1 アスベリンSy0.5%  4mL
    ムコダインSy5%    8mL
    ペリアクチンSy0.04% 4mL
    1日3回毎食後      7TD


「鼻に噴霧するインフルエンザのワクチンって、

この辺でやってるところありますか?」

ー患者さんの状態ー
体重15kg。
今日は鼻水や咳など症状があり受診。
母親からの質問で、インフルエンザの予防接種考えてるが、テレビの特集で鼻から噴霧するワクチンがあると聞き、注射がかわいそうなのでこの辺でできるところがあればやってみたいとのこと。

えっ!!そ、そんな便利なワクチンがあるの?
初耳です!!
そんなワクチンがあるなら、うちの子もぜひ。
この時は、

「今そんなワクチンがあるんですね?ちょっとこの辺では聞いたことがないので、予防接種のやってる病院の方に直接確認された方がいいと思います。」

と返答。


ホントにそんなワクチンあるの?

ちょっと調べてみましょう。

速攻あったw
みんな知ってるのね。
かなり出遅れてますが・・、

フルミスト

2003年にアメリカで承認された鼻腔内に噴霧するインフルエンザワクチン。
日本では、まだ未承認でアストラゼネカと第一三共で開発を行っており、現在申請準備中とのことです。
なので、大々的にやってるわけではなく、医師が個人輸入して使用してる医療機関がちょこちょこある程度・・。
まぁ、田舎のこの辺ではまずやってるところはないでしょう・・。

ただ、すごく魅力的なワクチンで、

メリットが大きく3つあります!

1、注射ではないので痛みはなく、注射の嫌がる子供にも使いやすい。
まぁ、大人でも注射嫌がる人いますもんね。

2、ワクチン株と流行株が異なっていても交叉免疫による感染防御が可能と言われてる。
毎年、インフルエンザワクチンが流行株と当たったーっ、はずれたーっなんて言ってますが、鼻から噴霧すればはずれなし!?
理由として、鼻腔内に噴霧すると、注射のワクチンで誘導される血中のIgG抗体だけでなく、鼻粘膜上のIgA抗体も誘導されます。
粘膜上に誘導されるIgA抗体の交叉反応性はIgG抗体よりも高いと考えられてるため、流行株と異なっていても予防可能だとか・・。

3、インフルエンザの感染自体を抑えることができるとされている。
注射のワクチンではインフルエンザの感染自体は防ぐか微妙ですが、鼻から噴霧すれば感染経路である粘膜に免疫を誘導することにより感染自体を防げちゃうらしい。

ホントなら絶対こっちのワクチンがいいですね!!
ただ、これらの効果に疑問符が付けられる試験結果も出ており、詳しくは日本で承認されてから検証してみましょう。


デメリットは?

生ワクチンなので、 軽いインフルエンザ様症状などの副反応が心配。
接種対象者も2~49歳健常人。
喘息などの基礎疾患があったり、妊婦には使用不可。

このデメリット解消のために、不活化ワクチンの開発中!!
国立感染症研究所では、人での有効性の試験において免疫の誘導の可能性が確認されたとか・・。
まだ、可能性の段階なのね・・。


まぁ、生ワクチンにせよ不活化ワクチンにせよ、今年は間に合わないので来年に期待しましょう。

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