妊娠中のクラミジアについて。薬はジスロマック?胎児への影響は?

22歳女性、産婦人科。

Rp1 ジスロマックSR 2g
    1日1回昼食間  1TD


「クラミジアの症状何もないですが、

放っておいたらどうなるの?」

ー患者さんの状態ー
妊娠4ヶ月。
クラミジアの検査にて陽性とのこと。
自覚症状は特にない。

うっ!苦手な妊婦への投薬。しかもクラミジア・・。
大抵聞かれるの嫌がって、冷たくあしらわれること多いですが、この方は逆にグイグイ質問してくる感じ。
STD全般あまり話し聞けることないので、この投薬はチャンス?
この時は、

「おそらく症状に関わらず、放っておくと流産や早産のリスクが高まると思います。
生まれてくる赤ちゃんにも感染する可能性あると思いますよ。」


と、ちょー情けない返答・・。


なぜ流産や早産のリスクが高まるのか!?

新生児への感染は?

感染により、
子宮頸管炎から絨毛膜羊膜炎に発展するとプロスタグランジンが産生され子宮収縮が起こります。
その結果、流産や早産のリスクが高まることになります。
新生児への影響は、産道感染により結膜炎肺炎が発症することもあります。

ちなみにクラミジア感染症にて無症状の割合は男性で4割、女性では7割もあるそうです・・。


まだいくつか質問があったので一気にいきましょうw

「この薬飲んでも赤ちゃんには影響ありませんか?」

この薬とはジスロマックSRのことです。
影響がゼロかというと・・。
この時は、

「クラミジアに効く薬の中では、胎児に対して安全性の高い薬です。
添付文書上では、治療上の有益性が危険性を上回る場合に使用するとなっています。
先程お話しした通り、放っておくと流産や早産、赤ちゃんへの感染の危険があるので必ず服用してください。」


と返答。


妊婦のクラミジアに対して第一選択薬はマクロライドのクラリス(クラリスロマイシン)かジスロマック(アジスロマイシン)
日本では両方とも治療上の有益性が危険性を上回る場合に使用するとなってますね。
ただ、アメリカFDAではジスロマックの妊娠危険区分が1つ上でクラリスの方が安全度は高いと評価されているようです。
でも、服用1回で終わった方が楽だと思いますけどね・・。


「飲んだら確実に治りますか?」

う~ん、難しい質問・・。
この時は、

「高い確率で成功すると思います。
ただ、100%ではないと思うので数週間後にまた検査あると思います。」


と返答。


参考資料によれば、妊婦のクラミジア子宮頸管炎クラリスで92.6%、ジスロマック1gで99.6%、ジスロマック2gでは100%の除菌率と書いてある・・。

100%!?何例中なの??

まあ、子宮頸管炎は治りやすいみたいです。
男性の場合はジスロマック1gでは60~70%程度の治癒率と言われているそうです。

参考資料:京府医大誌122 性器クラミジア感染症


「旦那の治療も必要ですか?」

えっ!?先生から全然説明を受けないの??
この時は、

「おそらく旦那さんもクラミジアに感染してると思われるので治療が必要です。
同時に治さないと繰り返してしまいますよ。」


と返答。


先生何も言わないんですね・・。
ちなみに1回の性行為での感染率は50%以上あるそうなので、夫婦であればお互い感染していると思われます。
すごく弱い菌で人の体から出ると長く生きていられないため、性的接触以外ではほとんど感染しません。
もめなきゃいいですけど・・。


最後に、なぜクラミジアにセフェムやペニシリンが無効なのか?
習いましたけど、たまに復習しないと忘れますねw
クラミジアは細胞壁にペプチドグリカンを含まないため、ペプチドグリカンの合成を阻害するセフェムやペニシリンは無効。


続きの質問はこちらです。
ジスロマックSRはなぜ空腹時?食後に飲んだらどうなるの?

興味があれば ブログ一覧 もご覧ください。