ラベキュアパックとランサップの効果比較。パリエットのメリットは?
54歳男性、消化器科。
Rp1 ラベキュアパック400 1シート
1日2回朝夕食後 7TD
「あれ?この前、妻が飲んでたピロリ菌の薬じゃない?
何か違うよね?」
ー患者さんの状態ー
1ヶ月ほど前に、この方の奥さんがランサップにてピロリ菌の除菌をされた様。
ご自身も胃の調子が悪く、胃カメラしたところ胃炎があり、ピロリ菌の検査を実施。
結果、ピロリ菌(+)。
併用薬はない。
隣の病院ではラベキュアもランサップも両方とも採用・・。
先生によっては3剤バラバラに出しちゃいますしねw
この時は、
「中に入ってる胃酸を抑える薬が違うだけで、抗生剤の成分は同じものです。」
と返答。
(念のため・・PPIの種類は・・ラベキュアにはパリエット(ラベプラゾール)、ランサップにはタケプロン(ランソプラゾール)が入ってます。)
この説明では納得せず・・。
「胃の薬が違うと失敗するんじゃないか?」
うんうん。まぁ、そんな気にもなりますよね。
「ピロリ菌除菌の成功率はどの胃酸を抑える薬を使っても変わりはないようです。
あとは先生の好みになると思いますよ。」
と返答。
ガイドラインによればPPIの種類による有意差はないとのことですが、
一応除菌の成功率のデータを比較してみましょう。
薬品名 | 1回の投与量 (1日2回) |
胃潰瘍の 除菌率 |
十二指腸潰瘍の 除菌率 |
ランサップ400 | ランソプラゾール30mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン200mg |
87.5% | 91.1% |
ランサップ800 | ランソプラゾール30mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン400mg |
89.2% | 83.7% |
ラベキュアパック400 | ラベプラゾール10mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン200mg |
87.7% | 83.3% |
ラベキュアパック800 | ラベプラゾール10mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン400mg |
89.7% | 87.8% |
ホントに差がないですね。
ただ、ラベキュアのデータは2007年に、ランサップのデータは承認時の2002年以前にとられたものだと思います。
年々除菌率が下がっているので、この5年以上の差はどうでしょうね?
同時期に一斉に比較試験してないですか??
ネキシウムも含めて比較してほしいものですw
ラベキュア押しってわけではないですが、
パリエット(ランソプラゾール)のメリットについて。
パリエットは他のPPIよりもCYP2C19による代謝が少ないそうです。
CYP2C19は、その人によって代謝の速度が異なる3つの遺伝子多型が存在するので、どの遺伝子かによってPPIの効き目が違ってきます。
その影響が少ないパリエットは安定した効果が得られます。
それと、CYP2C19はワーファリンの代謝、プラビックスの活性化にも関与しているので、相互作用の面から考えてもパリエットの方がいいかも・・。
薬価は、
ラベキュア400 → 544.2円
ラベキュア800 → 721.4円
ランサップ400 → 645.2円
ランサップ800 → 831.5円
ラベキュアの方が安いですね。
全体的にラベキュアに軍配?w
最近はPPIじゃなくてタケキャブ使った方が除菌率がいいと処方が増えてきてますね・・。