ワーファリン服用患者のビタミンKは不要?ビタミンKの役割は?

66歳男性、循環器科。

Rp1 ワーファリン(1) 4T
    レニベース(5)  1T
    1日1回朝食後  14TD

Rp2 リピトール(5)  1T
    1日1回夕食後  14TD
 

ビタミンKって全然摂らなくても大丈夫なの?」

ー患者さんの状態ー
PT-INRが前回の2.03→今回1.67に下がっていた。
先生から緑の物食べ過ぎてない?と注意されたとのこと。
1年程前から心房細動による脳卒中予防としてワーファリン服用。
先生からPT-INRは2~3の間にしたいと言われている様。
併用薬はない。

ビタミンKの働きって何だっけ??えっと・・、えっと・・。
この時は、

「もちろんビタミンKは体にとって必要なものですよ。
毎日少量ずつ緑黄色野菜や海藻など摂りましょう!」


とちょー情けない返答・・。


ビタミンKの役割も答えられなかったし、ビタミンKをどれぐらい摂取していいのかも微妙・・。
ってことで調べてみましょう。


まずは、血液凝固以外のビタミンKの役割って?

グラケー(メナテトレノン:ビタミンK2)の作用機序を考えればよかったですね。
・骨の脆弱性の要因となる骨基質タンパク質オステオカルシンの異常を正常化する。
・骨形成を促進し低下した骨代謝状態を改善する。
・骨の微細構造を改善する。
・骨粗鬆症における骨塩量及び疼痛の改善効果が確認されている。
・骨形成促進作用と骨吸収抑制作用の両面から骨組織の代謝不均衡 を改善する。

ってこで骨を丈夫にします。

それから、
『ビタミンK依存性たんぱく質MGP(Matrix Gla Protein)の活性化を介して動脈の石灰化を防止することも重要な生理作用である。』
だそうです。

ってことで動脈硬化を防ぎます。


ビタミンKの1日の摂取量は?

ワーファリンを服用してない人の『血液凝固能を維持するのに必要なビタミンK摂取量』は、平均体重72kgに対し82μg/日程度です。
上限量は設定されておらず、45mg/日服用しても特に副作用の報告はなかったそうです。
要は、普通に食事できていれば不足する量でもないし、摂りすぎても全然問題ないってことですね。


では、ワーファリン服用患者は、

どれぐらいビタミンKを摂っていいのか?

資料によってまちまちですが、250μg/日以下だったらそれほど影響ないみたいです。
よく小鉢程度って言いますが、言うだけあっていい量かも。
「何が小鉢程度だ!!」
と批判したかったですが、小鉢に茹でたほうれん草を入れるとだいたい50g
ビタミンKの量は160μgとなるので、その他もろもろを考えるとここが限界・・。
まぁ、ほうれん草の場合ですが・・。参考までに。


ちなみに骨粗鬆症患者にはビタミンK250~300μgの摂取が推奨されています。

ワーファリン服用による過度なビタミンKの制限は骨粗鬆症や動脈硬化を招くので投薬時の説明には注意が必要ですね。

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