妊婦にバイアスピリン。不育症(習慣流産)や妊娠高血圧の処方?

34歳女性、産婦人科。

Rp1 バイアスピリン(100) 1T
    1日1回朝食後     14TD
 

「何ですかね?この処方?」

と新人薬剤師君が私に言いました。

私 「不育症か妊娠高血圧じゃないかな?たぶん・・。」

何回か見たことある処方。
ただ、なかなか本人から聴取しにくいことですし、詳しく調べたことないので自信なし・・。
ちなみに、この方はうちの薬局利用は今回が初めて。

新人君 「そうなんですね。投薬行って聞いてきます。」
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新人君 「撃沈しました。聞き出せる雰囲気ではなかったです。
ただ、バイアスピリンはもらうの2回目で、妊娠10週みたいです。」

私 「まぁ、なかなか聞くの難しいよね。」

ここらでしっかり調べておきましょう!!
今日の治療指針・・。

まず、
習慣流産、不育症とは?

『3回以上連続する自然流産を習慣流産という。
妊娠するが流産・死産を繰り返して生児が得られない場合を不育症という。』

だそうです。


原因は?

胎児(芽)染色体数的異常 約50%
抗リン脂質抗体症候群 約5~15%
染色体均衡型転座 約5%
子宮奇形 約3%
糖尿病 約1%

などがあります。
う~ん、難しい話し・・。


このうちバイアスピリンが用いられるのは、

抗リン脂質抗体症候群が原因の場合。

 処方例として"今日の治療指針"に載っていたのは、

(1)バイアスピリン錠(100mg)またはバファリン錠(81mg) 1錠
1日1回 妊娠4週から35週まで内服(保外)
(2)カプロシン注 1回5000IU
1日2回12時間ごと皮下注 妊娠4週から陣痛発来まで(保外)

血栓の既往があるか、または(1)で不成功の場合(2)を用いる。
となっています。
ちなみにカプロシン注ってへパリンです。

この治療により80%が生児を獲得できるとのことです。
もちろん、抗リン脂質抗体症候群が関連してる場合ですが、診断には、抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラントなどの自己抗体が陽性で診断されるようです。
初耳の抗体・・。


ってか、
抗リン脂質抗体症候群って何?

『血液中に抗リン脂質抗体という自己抗体ができることにより、
静脈血栓症や動脈血栓症を起こしたり、不育症や妊娠高血圧症を起こしたりする自己免疫疾患。』


流産の原因が、胎盤の母体血液から酸素や栄養のやりとりをする絨毛間腔に血栓が形成されて、胎児に必要な酸素や栄養が不足するためと考えられているので、抗血栓療法としてアスピリンヘパリンが使われる訳ですね。
ちなみにワーファリンは催奇形性があるため使えません。

バイアスピリンも、
『妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがあるので、出産予定日12週以内の妊婦には投与しないこと。
となっているため、開始時には医師から十分な説明を受けていることでしょう。
って他人事ではいけませんね・・。

ちなみに、抗リン脂質抗体症候群は妊娠高血圧も関係してるとわかってるので、アスピリンの服用はその予防にもなっているようです。

しっかりと準備をして、あとは投薬で聞き出せるスキルを!!

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