NOACの使い分けや比較。抗凝固薬のプラザキサは最強で安全?
プラザキサ(ダビガトラン)
って2011年8月にブルーレターが出ていたので、イメージとしては強力で出血のリスクは高いんだろうなって・・。
ブルーレターの内容は、2011年3月14日~8/11までの間にプラザキサと因果関係が否定できない重篤な出血による死亡例が5例報告されているとのこと。
最近、家にたまってた資料の整理をしていたところ、2014年7月に書かれた、
『ダビガトランの Keep it simple ダビガトランの2用量とどう向き合うか』
と題した冊子が出てきました。
もらったときは全く中身を確認しないままポイっと家の資料置き場の奥に・・。
今になってチラっと読んでみたところ、プラザキサの2用量の考え方やNOACの使い分けや比較など、著者の心臓血管研究所所長の山下武志先生のお考えが書かれており、知識の乏しい私にとっては大変参考になりましたので、簡単にご紹介したいと思います。
本当は資料をもらって全部読んでいただくのがいいんでしょうけど・・w
冊子の題名からしてプラザキサ押しというのは見当がつきますけど、冒頭で言ったようにブルーレターが出ていて・・、
安全性はどうなの?
ワーファリン(PT-INR:2.0~3.0)と比べて、プラザキサ150mg×2回/日は大出血リスクを高めることなく脳卒中/全身性血栓症の発症を有意に抑制し、プラザキサ110mg×2回/日は脳卒中/全身性血栓症リスクを高めることなく大出血の発現を有意に抑制することが示されています。
この2用量はそれぞれ独立した有効性と安全性のエビデンスが存在しています。
ほうほう。
効果は高いんだろうなってのは予想通りですけど、大出血のリスクがワーファリンと同等もしくは低く、安全性も高いNOACだったんですね。
まぁ、ブルーレターを見返してみると、死亡例の5例とも70歳以上(うち4例は80歳以上)・・。
添付文書を見ると減量基準は決まっていますね。
・中度の腎障害(クレアチニンクリアランス(CCr)30~50mL/min)のある患者
・P-糖蛋白阻害剤(経口剤)を併用している患者
・70歳以上の患者
・消化管出血の既往を有する患者
ただ、プラザキサ110mg×2回/日でのエビデンスがあるため、医者の裁量で110mg×2回/日から開始するケースは十分考えられます。
むしろ目に見えない抑制効果よりも、目に見える副作用での出血に重きをおいて安全性を重視するケースの方が多いかもしれません。
NOACの使い分けや比較。
NOACを選択する際の価値観は、
1.血栓塞栓症を少なく
2.大出血を少なく
3.飲みやすさ
4.コスト
の4つに大別できます。
現在、複数の価値観をカバーできるNOACが存在しないので、どれを重視するかで薬剤を選択することになります。
血栓塞栓症 を少なく |
大出血 を少なく |
飲みやすさ |
コスト |
|
ワーファリン | 〇 | |||
プラザキサ 150mg |
〇 | |||
プラザキサ 110mg |
〇 | |||
イグザレルト | 〇 | |||
エリキュース | 〇 |
プラザキサ150mg×2回/日の有効性はNOACの中で別格らしい。最強!!
ワーファリンはコストの面では別格w
1日1回1錠のイグザレルトは飲みやすさでは1番楽。
大出血を少なくしたい場合は、CCr50mL/min以上の患者では、ワーファリンに比べて、プラザキサ110mg×2回/日で大出血の発現率が低く、逆に、エリキュースはCCr50mL/min未満の患者で大出血の発現率が低いことが示されています。
したがって、CCr50mL/min以上ではプラザキサ110mg×2回/日をCCr50mL/min未満ではエリキュースを選択する。
リクシアナ(エドキサバン)については触れられていませんね。
全身性塞栓症の発症抑制の適応が追加になったのがこの資料が書かれた2ヶ月後なので・・。
まぁ、薬剤師が薬を選ぶことはできませんけど、そのNOACを選んだ理由がわかった方が投薬の幅は広がりますね。
ただ、他の先生がどんな基準で薬を選んでるかはわかりませんけど・・、参考にはなりますよね??
ついでに、
抗凝固薬の作用機序の違いを図で説明。プラザキサ、エリキュース他。
の記事もご覧くださいw
最後までお読みいただきありがとうございました。
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