オルメテックがメトホルミン、カモスタットと一包化できない理由は?

70歳女性、循環器科。

Rp1 オルメテック(20) 1T
    コニール(4)    1T
    1日1回朝食後   56TD


「オルメテックってくさいの知ってる?」

私が新人薬剤師君に聞いてみました。

新人君 「いや、知らないっす。」


私 「オルメテックの瓶あるからにおい嗅いでみな。」

新人君 「はい。・・・。うっぐっ、クサっ、何っすか、このにおい!」

私 「ナイスリアクションwちょっと大げさ。」


私 
オルメテックと一包化しちゃダメな薬は?」

新人君 「くさくなるからですか?全然知らないです・・。」

私 「イヤ、くさくなるからではないけど・・。」



解説はオルメテックのQ&Aに書かれてます。


オルメテックの特有なにおいは?

『わずかにヨーグルトのようなにおい』と表現されていますね。
ヨーグルト??ですか?

『エステル結合によりプロドラッグ化しており、経口投与後、体内で加水分解されますが、製剤中でもごくわずかにエステル結合が外れてしまいます。
この外れた部分はヨーグルト等のにおい成分と類似した構造で、ジアセチルと呼ばれます。
ジアセチルは、ビール、ワインなどにも含まれる物質で、安全性、有効性、品質には問題ありません。 』

とのことです。

「へぇ~」としか言えないですねw


オルメテックと一包化しちゃいけない薬は?

メトホルミン塩酸塩製剤(メトグルコ他)又はカモスタットメシル酸塩製剤(フオイパン他)

理由は、
『一包化し高温多湿条件下にて保存した場合、メトホルミン塩酸塩製剤又はカモスタットメシル酸塩製剤が紅色に変色することが確認されています。』
とのことです。

これ一緒に分包してる人いそうですけどね。
見落としてしまいそう・・。

配合変化が起きる原因として、
加速条件(40℃75%RH)下でのメトホルミン塩酸塩製剤の添加物に含まれる「グアニジノ基」とオルメテックのにおいの元の「ジアセチル(揮発成分)」が反応し変色すると推察されているようです。

添加物も関わっているので、配合変化の具合はメーカーによって違うみたいです。
オルメック20mg配合変化
をご覧ください。

「錠剤赤くなりますが心配ありません。」
と説明すれば一包化してもいいのではないですか!?

知財ポータルサイト IP Force
にこんな記述が・・。
『一包化による錠剤の着色は外観を損なうだけでなく、医薬品そのものの品質にも影響を与える可能性があり、好ましくない。
このようなことから、オルメサルタンメドキソミルを含有する医薬品製剤からジアセチルを発生させない、あるいは放出させない工夫が必要とされてきている。』

とな。

品質に影響を与える可能性・・・程度ですが、知った以上一包化は避けなければいけません。
ジアセチルを発生させないよう工夫されれば臭いもなくなり一石二鳥ですね。

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