SGLT2阻害薬とDPP4阻害剤の効果比較。スーグラ他。機序を図で説明。
早いもので、
選択的SGLT2阻害剤
スーグラ錠(イプラグリフロジン)
薬価は、
25mg1錠 136.5円
50mg1錠 205.5円
が発売になりすでに1年以上が経過し、今発売されてる中でジャディアンス以外は長期処方が可能となってますかね。
思っていたより処方されてないイメージですが・・、今後のためにSGLT2阻害薬をちょっと復習してみようかと思います。
最後にDPP-4阻害薬と比較してみます。
作用機序は?
SGLT2阻害薬
図がわかりづらい?
原尿中のグルコースは近位尿細管のSGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体 2型)で約90%再吸収されますが、SGLT2を阻害することでグルコースの再吸収を抑制し、グルコースを尿中へ排出させます。
今までの糖尿病の薬は、体内でどう処理するかって薬しかありませんでしたが、糖を体外へ出す!何てすばらしい薬でしょうw
んで、インスリンを出すわけでもないので、低血糖は少なく、
何と体重まで落としてくれる!!
スーグラの場合は、52週で平均67.49kgから3.52kgも減量!!
今ストップがかかってる(消え去った?)肥満症治療剤のオブリーン錠は、
52週で平均85.43kgから2.27kgしか減量してない・・。
こりゃオブリーン完敗ですな。
メトホルミンに代わり肥満を伴う糖尿病の第一選択薬にSGLT2阻害剤がなんて日もある?
ちなみに、スーグラを服用して14日後の尿中グルコース排泄量は、プラセボと比較して70g以上多く、1日で280kcalも多く排泄されていることになります。
何もせずに280kcalはすごい!
ただし、腎機能が落ちていると尿の排泄量も減るので効果が減弱されてしまいます。
注意点はないの??
あります。
尿糖により細菌が繁殖して、尿路・生殖器感染が起こりやすくなる点。
痩せ形の人では、血糖を維持するため筋肉のたんぱく質を代謝して糖新生に用いるの筋力の低下が起こる点。
浸透圧利尿作用が働き頻尿となり、特に高齢者ではそれに伴う脱水が起きやすい点。
などがあげられます。
『SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation』も出てますのでまとめときます。
やっぱり、一番気になったのは、
脳梗塞。脱水も込みで。
12例の脳梗塞も報告されていて、SGLT2投与後数週間以内に起こることが大部分だって・・。
しかも、ヘマトクリットの著明な上昇を認める場合があるとのこと。
ヘマトクリットとは血液中に占める赤血球の容積の割合を表す数値で、
ヘマトクリットが上昇してると脱水症状を起こしてる可能性があり、SGLT2阻害剤による脱水で血液が濃くなり、脳梗塞に至ったと関連が疑われているようです。
まぁ、脱水には注意!!
と発売前から注意喚起されていましたが、脳梗塞までとは・・。
治験の段階では、脳梗塞が起きやすくなるって、統計的な有意差は証明できていなかったようですよ。
薬剤師は、高齢者や利尿剤併用患者など体液量減少を起こしやすい患者さんにSGLT2阻害薬を出さない!!ってことできませんから、
毎食時に200mLぐらいいつもより水を多く摂ってもらうよう説明したり、
下痢や嘔吐、水分が摂れない状態のときには、薬を中止していただくよう説明したり、
脱水の症状が、急激な体重減少、口渇、めまい、ふらつきなどと説明したり、
尿の色がいつもより濃いときは水分補給を勧めるよう説明したり。
やれることはある。
あとは、皮膚症状。
皮膚症状は薬疹、発疹、皮疹、紅斑など非重篤のものを含めれば500例以上が報告され最も頻度の高い副作用となっているとのこと。
さらに重篤と判定されたものも80例以上に上っている様。
重篤な皮膚障害は、治験時にほとんど認められていなかったのに・・。
ちなみに、別のSGLT2阻害薬に変更しても薬疹が生じる可能性があるらしく、SGLT2阻害薬で薬疹が出たら、別の系統の薬剤への変更を考慮するべき。
ただ、ルセフィは皮膚への移行率が低いようで、このリコメンデーションが出たとき、まだ重篤な皮膚症状は出てないと言ってましたけど・・。
今はわかりません。
低血糖もやっぱりあるね。
単独ではそうでもないけど、
インスリンやSU剤と併用では重篤な低血糖が起きてますね。
インスリンにSGLT2阻害薬を追加するときは、単位数の減量を。
SU剤に追加するときは、DPP-4阻害剤のときと同じ・・。
・グリメピリド(アマリール)2mg/日を超えて使用している患者は2mg/日以下に減じる
・グリベンクラミド(ダオニール、オイグルコン)1.25mg/日を超えて使用している患者は1.25mg/日以下に減じる
・グリクラジド(グリミクロン)40mg/日を超えて使用している患者は40mg/日以下に減じる
SGLT2阻害薬の効果は?DPP4阻害剤との比較。
SGLT2阻害薬とDPP-4阻害剤を代表して1番最初に発売されたスーグラとグラクティブ。
薬品名 | 投与量 | 体重の変化 (kg) |
HbA1c(%) | |
投与前から の変化量 |
プラセボ との差 |
|||
グラクティブ | 100mgを1日1回 | ほぼ横ばい | - 0.7 | - 1.0 |
スーグラ | 50mgを1日1回 | - 3.52 | - 0.76 | - 1.24 |
両方とも単剤療法。
グラクティブは、12週間時の結果。
スーグラは、16週間時の結果。
体重は52週間時の結果。
比較した試験ではないので参考までに・・。
この結果を見るとHbA1c改善効果はだいたい同じぐらいですかね。
ついでにもう一つ。
SU剤とメトホルミンを投与中の患者を対象に、3剤目の経口薬としてDPP-4阻害剤(グラクティブ)とSGLT2阻害薬(カナグル)を比較した試験の結果。(CANTATA-D2 study)
薬剤名 | 一般名 | 投与量 | 体重の変化 (kg) |
HbA1c 変化量 (%) |
カナグル | カナグリフロジン | 300mgを1日1回 | - 2.36 | - 1.03 |
グラクティブ | シタグリプチン | 100mgを1日1回 | + 0.01 | - 0.66 |
カナグル日本での用量は1日100mgなので大した参考にならないかも・・。
DPP-4阻害薬の作用機序はこちら。
DPP-4阻害薬の強さ比較と特徴。機序を図で説明。ザファテック他。
SGLT2阻害薬同士の比較はこちら。
SGLT2阻害薬の強さ比較。フォシーガ、デベルザ、カナグル、ルセフィ他。