ボルタレン坐剤でも胃腸障害が起きる理由は?ボルタレン錠より効く?

42歳女性、整形外科。

Rp1 ボルタレンサポ(25)  10本
    疼痛時 1日2回まで

Rp2 モーラステープL(40) 35枚
    1日1回 腰


「坐薬でも胃に負担がかかるんですか?

胃に悪いので注意と先生に言われました。何で?」

ー患者さんの状態ー
腰痛あり整形外科を受診した患者さん。
特に異常見当たらず腰痛症との診断。
併用薬はない。

うんうん、これは『あるある』な質問ですね。
この時は、

「この坐剤はプロスタグランジンという物質が作られるのを抑え痛みを感じにくくする薬ですが、同時に胃の粘膜を保護するプロスタグランジンも減ってしまうので、直接胃を通らなくても血液中に入ることにより、胃腸障害が起きることがあります。」

と返答。

作用機序は、
トラムセットとNSAIDsの併用は可能?作用機序を図で説明。
を参考にしてください。


じゃあ、

錠剤と坐剤どっちの胃腸障害が多い?

これの質問の答えは、ボルタレンのFAQに載ってますね・・。

『承認時までの調査及び使用成績調査(又は市販後症例調査)成績によると、消化器系副作用発現率は、ボルタレン錠及びボルタレンSRカプセルと比較し、ボルタレンサポでの発現率が低かったと報告されています。』

ボルタレン錠:9.43%(承認時)、6.63%(市販後症例調査又は使用成績調査)
ボルタレンサポ:4.93%(承認時)、0.83%(市販後症例調査又は使用成績調査)

だいぶ差ありますね。

『一方、日本リウマチ財団による疫学調査によると、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期服用関節炎患者における胃潰瘍の有病率は、NSAIDsの坐剤と経口剤投与の間で有意差はなく、胃潰瘍発生に対するNSAIDsの剤型、投与経路の影響は少ないとされています。』

この結果を見ると、
長期継続による胃潰瘍の差はないけど、軽い消化器系の副作用は消化管への直接刺激のある錠剤の方が多いということでしょうか。


じゃあ、

錠剤と坐剤どっちが効果ある?

同じミリ数なら初回通過効果受けない坐剤の方が効くでしょう。
添付文書には疾患別の有効率が記載されていますが、だいたい坐剤の方が錠剤を上回っています。
腰痛症では、
坐剤の有効率が71.3%、錠剤の有効率が63.7%となっています。


何で飲み薬から出なかったんでしょう?
その辺の聴取ができてなかったですね・・。

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