COX-2選択的阻害剤セレコックスのデメリットは?心血管イベント。
71歳男性、整形外科。
Rp1 オパルモン(5) 3T
メチコバール(500) 3T
1日3回毎食後 56TD
Rp2 ロキソニン(60) 1T
疼痛時 20回分
「今までの薬、長い間飲めないんだって?
強い薬だったの?」
ー患者さんの状態ー
前回までセレコックス(100)2T1日2回朝夕食後に服用していたが、
今回からロキソニン(60)の頓服に変更となった。
セレコックス(100)を開始してから約8ヶ月経過。
この方脊柱管狭窄症で腰痛や下肢のしびれなど訴えあったが、
腰痛に関しては今はそんなにひどくないとのこと。
併用薬は、アイトロール、ノルバスク、ブロプレス他。
うーん、セレコックスだから胃腸障害じゃないよね・・。
ん?もしかして、心臓関係!?
この理由で止めになった話しを患者さんから聞くのは初めてだぁ。
何て説明しようかな・・。
この時は、
「前まで出てたセレコックスは、胃の負担が少なくて強い薬というわけではないんですが、何年も服用を続けていると、心筋梗塞などのリスクが少し上がるかもしれないと言われています。
狭心症をお持ちということを考えて、この辺で中止したのかもしれませんね。」
と返答。
添付文書にも『心血管系疾患又はその既往歴のある患者』に対し慎重投与になっています。
セレコックスが処方になった時点で注意喚起しておくべきか!?
心血管イベントのリスク上昇がCOX-2選択的阻害剤の最大のデメリットでしょう。
中外製薬のHPにCOX-2選択的阻害剤のメリットとデメリットがまとめられていたので引用させていただきます。
メリット | デメリット |
消化管障害を約50%減少 腫瘍の発症・進行抑制 ・大腸腺腫 ・乳癌 アルツハイマー病の発症抑制 |
心血管イベントリスクが上昇 ・血栓傾向 ・心筋梗塞 ・心房細動/心房粗動 従来のNSAIDsと同様の副作用 ・腎障害 ・肝障害 ・皮疹 |
じゃあ、
何で心血管イベントのリスクが上昇するのか?
1.血小板のCOX-1には作用しないので、血液凝固を促進するトロンボキサンA2産生は阻害しない。
→ 抗血小板作用はない。
2.血管壁のCOX-2阻害により血管拡張や血小板凝集の抑制を示すプロスタグランジンI2産生を阻害する。
→ 血管収縮と凝血が起こるリスクが上昇する。
うんうん。理屈としてはよくわかる。
実際、海外の比較試験では、
非選択的NSAIDs、アセトアミノフェン投与群に比べ、セレコックス投与群の方が心筋梗塞の発症のリスクを有意に高めるデータが得られているようです。
ただし、2004年に製造が中止(日本では治験中止)になったロフェコキシブと比べると、セレコックスの方が明らかに心血管イベントのリスクが少なく、国内の臨床試験において、心筋梗塞、脳卒中は報告されていません(1年以上の試験データはない)。
なので、まぁ・・、
正直、心疾患+セレコックスについてそれほど意識してませんでした・・。
今後はその辺も意識して適切な服薬説明ができればと思います。
さらに、リウマチなど長期でセレコックスを服用している方にも注意が必要ですね。
結局セレコックスにもムコスタがセットで付いてくるよね。