ダイアップ坐剤の使い方。アンヒバとどっちが先?熱性痙攣まとめ。

2歳男の子、小児科。

Rp1 ダイアップ坐剤4  3本
    発熱時(痙攣予防)

Rp2 アンヒバ坐剤100 3本
    発熱時


「ダイアップは8時間後でいいんですよね?

ー患者さんの状態ー
今日の朝、急に痙攣が起きたため病院受診。
病院に到着して痙攣は治まっていたが、熱を測ったところ39℃以上あった様。
病院でダイアップ坐剤を1本使い、熱が続くなら8時間後にもう1本使うよう先生から指示があったとのこと。
熱性痙攣は初めてで母親はかなり心配している様子。
体重10kg、併用薬はない。

いやー、そりゃ心配になりますよね。
うちの子たちは熱性痙攣を起こしたことはないんですが、わかっていても相当焦りますよ。きっと。
この時は資料を見せながら、

「このグラフの通り8時間後にダイアップの効果が切れるので、熱が続くようなら先生の指示通り8時間後の使用で大丈夫です。」

と返答。

ちなみにその資料ってのがこれ。
ジアゼパム坐剤
どこのメーカーの資料かな??
ってか、この資料だいぶ昔からあるけどもう古くない??
そういえば、最近熱性痙攣のガイドライン改訂にならなかったけ?

・・・、やっぱり、19年ぶりの改訂になってるじゃん・・。


ダイアップ坐剤は必要なの?

以前からジアゼパムの坐薬を熱性痙攣の予防に使ってるの日本ぐらいだって話し聞いたことありますけど、今回のガイドライン改訂でも結局必要なのか??

ダイアップ坐剤が必要なのは以下の1または2の条件満たす場合に使用するとなってます。
1.遷延性発作(持続時間が15分以上)
2.次のa~fのうち2つ以上を満たした熱性痙攣が2回以上反復した場合
  a.焦点性発作(部分発作)または24時間以内の反復
  b.熱性痙攣出現前より存在する神経学的異常、発達遅滞
  c.熱性痙攣またはてんかんの家族歴
  d.生後12ヵ月未満
  e.発熱後1時間未満での発作
  f.38℃未満での発作

って訳で、15分以上痙攣が続いた場合と、あとは再発の危険因子が2つ以上ある発作を繰り返した場合もダイアップが必要となります。
それ以外の単純型の熱性痙攣に対しては必要ないということなんですけど、地域の医療体制や保護者への配慮から医師の判断によりダイアップが処方されることも十分考えられます。
ただ、ジアゼパム・・・、ホリゾン・・、逆にできれば使ってほしくないですけど・・。


ダイアップ坐剤の使い方は?

これは、上の資料の通りでだいたいいいんじゃないでしょうか??って言っても画像が悪すぎて文字まで見えてませんね。
ガイドラインには、
『37.5℃を目安として、1回0.4~0.5mg/kg(最大10mg)を挿肛し、発熱が持続していれば8時間後に同量を追加する。』

んで、古いと思われる上の資料にはさらに、
『医師から特別な指示があった場合にのみ、2回目の坐剤を挿入してから16時間以上の間隔をあけて3回目を挿入してください。』と書いてます。
ただ、熱性痙攣は発熱後24時間以内に多いので、3回目の投与は勧めない医師が多いようですけど。


ダイアップ坐剤とアンヒバ坐剤との併用は?

一緒に使う場合は、ダイアップを先に使い、30分以上間隔をあけてアンヒバあるいはアルピニーを使います。
理由として、同時に使うと、主成分である脂溶性のジアゼパムが、アンヒバの脂溶性基剤に吸着してしまい、体内への吸収が遅くなってしまいます。
結果、十分な予防効果が期待できません。

ナウゼリン坐剤とアンヒバ坐剤どっちを先に使う?理由は?
も参考にしてください。

んで、アンヒバ坐剤での解熱で熱性痙攣は予防できるのか?

予防できるってエビデンスがないので、再発予防としての使用は特に勧められてません。
ただ、解熱の効果が切れた後の痙攣の誘発を心配して解熱剤の使用を控えるって必要もないようなので、まぁ、熱性痙攣のない患者さん同様に、熱でつらそうだったり水分が摂れなかったりした場合は使ってと従来通りの説明でいいようです。


ダイアップ坐剤の予防は何歳まで続ける?

ガイドラインでは、
『最終発作から1~2年または4~5歳まで』
とされてます。
最終発作から3年も4年も予防としてダイアップが処方されてる場合は、一度先生に確認してもらった方がいいですね。


熱性痙攣のまとめ。

生後6~60ヵ月の小児が38℃以上の高熱を出したとき起こす痙攣を熱性痙攣という。
痙攣の原因が明らかでないものを指すが、脳の未熟性や誘因となる発熱、遺伝的素因が関わっていると考えられる。
突然意識がなくなり、白目をむいて身体を反り返らせて硬くなったり、手足をガクガク震わせたり、顔色が紫になることもある。
有病率は高く、小児の7~11%が経験する。患児の過半数は1回しか痙攣を起こさないが、30~40%は2回、10%は3回以上痙攣を起こす。
熱性痙攣後のてんかん発症率は一般人口における発症率と比べて高いとの報告があるが、複雑型熱性痙攣やてんかんの家族歴などの危険因子がない場合、てんかん発症率は一般人口と変わらない。
なので、保護者には基本的に予後が良好な疾患であることを伝え安心させてあげることも重要。


古いと思われた↑の資料も全然問題なく使えそうですw

2015年8月の日経DIを参考にさせていただきました。
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