キュバールやパルミコートなどの吸入ステロイドは成長に影響する?
7歳男の子、小児科。
Rp1 オノンDS10% 0.7g
1日2回朝夕食後 14TD
Rp2 キュバール50エアゾール 1個
1日2回 1回1吸入
「この薬で身長伸びなくなる?」
ー患者さんの状態ー
しばらくはオノンだけで喘息発作はなく落ち着いていたが、最近かぜを引き金に発作がみられるようになったとのこと。
吸入ステロイドのキュバール50エアゾール処方。
以前にも吸入ステロイド使ったことある。
最近、知り合いから吸入ステロイドで身長が伸びなくなると聞いたようで今回の質問・・。
体重20kg。
併用薬はない。
以前にも同じ質問されたことある。
『あるある』な質問ですかね?
答えによっては、アドヒアランスの低下を招く事態も・・。
この時は、
「確かに長期間使うとほんの少し成長を抑制する可能性があるそうですが、喘息発作で睡眠不足になって成長ホルモンの分必が減ってしまうのも成長に良くない気がしませんか??
なので、自己判断で中止せず、十分に良くして早く中止できるようしっかり吸入してください。」
と返答。
おやおや?
2015年2月に日本小児アレルギー学会から吸入ステロイド薬による小児喘息の長期管理についての見解が出されているようですね。
2~3歳の小児にフルチカゾン(フルタイド)(176μg/日)吸入薬を2年間投与し、中止した後更に2年間身長の伸びを比較。
→ 全対象ではプラセボとの有意差なし。
ただし、2歳で体重が15kg未満の小児だけ、2年後1.6cm身長が低かった。
この結果は、低年齢・低体重であるほど相対的使用量が増大する可能性が高くなることに注意し治療を行う必要があるということ。
5~13歳の小児にブデソニド(パルミコート)(400μg/日)を4~6年間使用した群が成人年齢に達したときの身長を比較。
→ 平均1.2cm身長が低かった。
この結果は、思春期前の小児で数年間の吸入ステロイドの使用が成人に達したときの身長に影響を残していることを示した上で、リスクとベネフィットの観点から最小有効量を使用することが望ましいということ。
とまぁ、2つの試験の結果が出ていましたね。
ついでにもう一つ。日経DIの2014年5月号に載ってました。
5~18歳の軽症喘息児に対し、ベクロメタゾン(キュバール)(80μg/日)を44週間の連日吸入した群と身長の伸びを比較。
→ 1.1cm±0.3cm身長が低かった。
ほうほう。
以上フルタイド、パルミコート、キュバールの試験結果ですが、イマイチどの吸入ステロイドが成長の影響が少ないのか微妙な感じしますね。
日経DIには、フルタイドの方が影響少ないと書いてます。
別の試験で、低用量フルタイド(50~200μg/日)に関する検討において、有意な成長抑制が認められなかったという結果も出ているようです。
ちなみに小児に適応のある吸入ステロイドは4成分で、上の3成分とシクレソニド(オルベスコ)、あとは、フルチカゾンとサルメテロールの配合剤のアドエアがあります。
オルベスコは安全性の高い吸入ステロイドとして評価を得ているようです。
オルベスコ小児に適応あったんですねw小児に出てるの見たことない・・。
まぁ結局、吸入ステロイドは成長を抑制するので控えましょう!なんてわけもなく、
医師はしっかり喘息の状態を見極めて、吸入ステロイドのリスクとベネフィットを考慮し適正に使用する。
薬剤師は必要な情報を提供し、適正な使用をしていただけるよう服薬説明する。
そりゃそうだろって結論で・・。