ヒトメタニューモウイルスって何?治療薬は?RSとの違いは?

3歳女の子、小児科。

Rp1 アスベリンSy0.5%  4mL
    ムコダインSy5%    8mL
    ペリアクチンSy0.04% 4mL
    1日3回毎食後      7TD

Rp2 アンヒバ坐剤200mg   5本
    発熱時
    38.5℃以上で1回3/4本


ヒトメタニューモウイルスって何?」

ー患者さんの状態ー
体重14kg。
きのうから熱が39℃ぐらいあり、夜に咳がひどく、鼻水など症状もある。
喘鳴も認められ、先生はRSウイルスかヒトメタニューモウイルスと言っていた様。
母親は、RSウイルスは聞いたことあるが、ヒトメタニューモウイルスは初耳とのこと。
迅速診断キット使ったのかは不明。

え??ヒトメタニューモウイルス??
私も同じく初耳ですが・・、有名なウイルス??
この時は、

「ごめんなさい・・。勉強不足でそのウイルスの名前初めて聞きました。
熱とか咳とか症状の出るウイルス何ですか??お調べします・・。」


と返答。


知らないものは知らない・・。
変にごまかすよりよし!(涙)


ヒトメタニューモウイルス(hMPV)とは?

2001年に発見されたウイルス。
ヒトのウイルスの中で遺伝子が一番類似しているウイルスは、臨床症状も似ているRSウイルスである。
パラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科メタニューモウイルス属に分類。

割と最近発見されたのね。
調べてみても思い出さないってことは、やっぱり初耳??


感染者はどれぐらい?何歳ぐらいに多い?

ウイルス性の呼吸器感染症の中で小児では5~10%、成人では2~4%はヒトメタニューモウイルスが原因と推測されている。
1~2歳で最も多く感染し、一度の感染では終生免疫が得られず、乳幼児期においても再感染を頻繁に起こすと推測される。


結構多いですね。


いつ流行る?感染経路は?

日本では3~6月に流行。
ヒトへの感染は飛沫感染、手指を介した接触感染。
鼻粘膜への感染により成立すると推測される。


春先も気が抜けない・・。


感染の期間は?症状は?

4~6日の潜伏期間、7~14日間のウイルス排泄期間。
年長児や健康成人は上気道感染症であると推測されるが、乳幼児や高齢者は重症な下気道呼吸器感染症(細気管支炎、喘息様気管支炎、肺炎など)となる。
ヒトメタニューモウイルスを検出した61例の患児の臨床診断は、喘鳴を伴う気管支炎いわゆる喘息様気管支炎が38%と一番多く、その他、上気道炎、気管支炎、肺炎であった。
臨床症状は、発熱、咳嗽、鼻汁がいずれも90%以上の患児でみられ、その他、呼吸困難、嘔吐、下痢、頭痛がみられた。


『喘鳴を伴う気管支炎いわゆる喘息様気管支炎』てのがポイントですかね。
ただ、RSウイルスでも喘息様気管支炎あるので判別には使えない・・。


診断方法は?治療薬は?

2012年4月にヒトメタニューモウイルスの迅速キットが発売されています。
5~15分程度で鑑別できます。
んで、2014年1月1日から『hMPV感染症が疑われる6歳未満の患者であって、画像診断により肺炎が強く疑われる患者』の検査に対し保険適用になりました。
治療は、重症度にあった対症療法(症状を和らげる治療)が基本。
抗ウイルス剤であるリバビリン、免疫グロブリンは動物実験ではウイルス増殖抑制作用があるが、臨床的に使用された報告はない。


リバビリン・・、C型肝炎治療薬・・。
まぁ、ヒトメタニューモウイルスには使えないね。


RSVとhMPVの違いは?

↑を見てきたところ、RSウイルスなのかヒトメタニューモウイルスなのか違いが今一つ。
まず時期がちょっと違いますね。
RSVは11月~4月頃なので、RSVが治まってからhMPVって感じですね。
年齢も若干・・。
RSVは1歳以下に多いのに対し、hMPVは1~2歳に多く、RSVより少し遅れて初感染を受けます。
RSVとhMPVの臨床症状および検査所見はほぼ同様であるとの報告が多く、症例において臨床的に鑑別できないが、hMPVはRSVより高熱が多く、喘鳴は同程度にみられるという報告が多いようです。

次聞かれたときは大丈夫!?w

菊田英明先生の論文を参考にしています。

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