レミッチ/ノピコールの作用機序は?肝疾患やアトピーの適応は?
65歳男性、皮膚科。
Rp1 レミッチ(2.5) 1T
1日1回夕食後 14TD
Rp2 アレジオン(20) 1T
1日1回朝食後 14TD
Rp3 ヒルドイドソフト軟膏 75g
1日数回 乾燥してるところ
「レミッチって普通のかゆみに効かないですか?」
新人薬剤師君がそう言いました。
私 「さー?」
ー患者さんの状態ー
数年前から週3回透析している患者さん。
全身のかゆみがひどいとのことで皮膚科受診している。
最近、透析している患者さんが院外処方になったばかりで、レミッチほどんど出したことないのに・・。
激ムズな質問してくるね!
前にレミッチの作用機序確認したことありますが、読んでもさっぱりわからなく、放置していたもんで・・。
調べてみましょう!
まず作用機序の確認をもう一度。
添付文書には、
『ヒトオピオイド受容体発現細胞を用いたin vitro の受容体結合試験及び受容体作動性試験の結果から、選択的なオピオイドκ受容体作動薬であることが示されている。』
へぇー・・、やっぱりよくわかりません。
その前に、透析患者のかゆみの原因を調べてみましょう。
1、 尿毒症性物質
2、 二次性副甲状腺機能亢進症
3、 透析器材・滅菌法の影響
4、 乾皮症
5、 痒みのメディエーターの関与
6、 痒みの域値の低下(感受性亢進)
7、 精神的因子の影響
8、 内因性オピオイド異常
とメチャメチャ多岐にわたるんですね!!
私の頭の中には『尿毒症性物質』しかなかったです・・。
透析だけでは老廃物全部出し切れないのかなぁ~??っと。
んで、注目すべきは『内因性オピオイド異常』です。
あ~、これを見ると、作用機序の
『選択的なオピオイドκ受容体作動薬であることが示されている。』
が何となく見えてきますね。
んで、どうして効くのか?
オピオイド受容体のうち、μ受容体の刺激により痒みの誘発が知られており、
その作動薬はモルヒネです。
うんうん、かゆみの副作用ありますね。
逆に、κ受容体の刺激により痒みの抑制が知られており、
その作動薬が『レミッチ(ナルフラフィン)』なんです。
んで、
透析患者の血液中のオピオイドをみると、痒みが高度なほどμ/κ比が増加しており、透析患者ではμ受容体系が優位な状態にあり、痒みが生じやすくなっています。
(参考資料:日本薬剤師会雑誌 第64巻 第3号)
ほうほう、だから透析患者に効くのかぁ。
じゃあ、透析患者以外効かないのか?
2015年5月に慢性肝疾患患者への適応も追加になりましたね。
その時に、どさくさに紛れてノピコールってレミッチと全く同じ薬が発売になってます。
製造販売元は同じなのに何で2種類出すの??販売元や提携元が違うから??紛らわしいだけで全く意味が分かりませんね。
とまぁ、肝疾患の方に効くということは、慢性肝疾患も透析患者と同じようなオピオイドの状態になっているんでしょうね。
東レのHPの2011年の記事には、
「慢性肝疾患に伴うそう痒症、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒症についても現在、臨床開発が進行している」
と書いてますね。
アトピー性皮膚炎はぽしゃったかな??
まぁ、薬価が2.5μ1カプセルが1795円もするので公費がきかない疾患ではお金の面でもきついですね。