亜鉛を含むプロマックとニューキノロンって併用注意じゃない?キレートは?

65歳男性、内科。

Rp1 クラビット(500) 1T
    1日1回朝食後    5日分

Rp2 メジコン(15)   6T
    1日3回毎食後    5日分


ー患者さんの状態ー
熱は微熱程度だが、咳がひどく受診。
レントゲンをとったところ軽い肺炎との診断。
併用薬は、別の病院から
 プロマックD(75)2T/2×朝食後、寝る前
 ラベプラゾールNa(10)1T/1×朝食後
服用中。

「あれ?この組み合わせってキレートできちゃうよね?

と独り言・・。

クラビットとかのニューキノロン系の抗生剤と金属類の併用でキレート形成と言えば併用注意の代表格。
もちろん亜鉛(Zn2+)を含むプロマックDも気をつけないとダメだよね。
でも、この組み合わせって意外に見たことないかも・・。
一応、プロマックの添付文書見てみよう。
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んん??

併用注意に載ってないね・・。

何で??

インタビューフォームを確認してみよう。
ほうほう。
『雄性ビーグル犬にノルフロキサシン、レボフロキサシンまたはスパロフロキサシンと同時にポラプレジンクを非絶食下に経口投与した結果、ポラプレジンクはこれらニューキノロン系合成抗菌剤の吸収に影響を及ぼさなかった。』
とな。
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 ・
いやいや、結果じゃなくて理由は??

メーカーに聞いてみるか。
「併用注意じゃないのはインタビューフォームの通りです。
理由まではちょっとわかりません。
心配されるようであれば時間をずらして服用されては?」
って感じの返答。

マジかぁー。
メーカーの対応もさまざま。

くそー、この内容では、このブログはお蔵入りかっ・・。


もう少し調べてみましょう。

おっ!!
抗菌剤の消化管吸収に及ぼす新規抗潰瘍剤Polaprezincの影響
古いけど、ナイスな文献を発見。

内容的には、

亜鉛は、アルミニウムや鉄に比べてニューキノロンやテトラサイクリンの吸収に及ぼす影響は少ない。
その理由として、亜鉛は、アルミニウム、鉄、銅に比べて安定なキレートを形成しにくく、ニューキノロンやテトラサイクリンとのキレートも不安定であるため吸収抑制の程度も軽微。

まぁ、絶食下では多少吸収に影響するが、食後なら影響しなかった。
その理由は、ポラプレジンクの溶解性はPHに依存しており、食後に胃内PHが上昇してポラプレジンクの溶解性が低下し遊離亜鉛量が減少したためと考えられる。
ってことで、食後での併用は臨床上ほとんど問題ない。

らしきことが書いてました。

理由がわかってスッキリしましたね。
ただ、チラーヂンSとかメタルカプターゼは併用注意です。
メタルカプターゼは食前の薬なので併用注意も納得。

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