抗癌剤後のデカドロンの服用目的は?吐き気おさまっても必要?

64歳女性、消化器科。

Rp1 イメンドカプセル(80) 1C
    1日1回朝食後      2TD
    翌日から服用

Rp2 デカドロン(0.5)  16T
    1日2回朝夕食後     2TD
    翌日から服用


新人君 「デカドロンって何で出てるんですか?」


私 「吐き気止めとしてだよ。添付文書見てみな。」
 ・
 ・
 ・
新人君 「あっ!ホントですね。

抗悪性腫瘍剤(シスプラチンなど)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)って書いてます。」


新人君 「どんな機序ですかね?」


私 「・・・・・。さぁ~?」

ー患者さんの状態ー
胃癌。手術はできない様。おそらく切除不能。
抗癌剤はゼローダ服用中。
注射剤も併用しているが、中身については不明(そこまで聴取できてない)。
現在は吐き気なく、その他、手足症候群や好中球減少など副作用も見られてない。

さてさて、
何でステロイドが吐き気止め?
ちょっと調べてみましょう。


なぜ吐き気に効果があるのか?

ステロイドはかなり昔から化学療法による悪心・嘔吐時の制吐薬として有効性が証明されています。
しかし、その作用機序については、後に開発導入された5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬ほどには解明されたいません。
(がん診療ガイドライン:制吐療法 より)

って、結局作用機序不明かい!

メチルプレドニゾロン(メドロール)も化学療法時の制吐薬として検討されているようですが、日本ではデカドロン(デキサメタゾン)のみ保険適応が認められています。


ちなみに、
イメンド(アプレピタント)の作用機序は、
中枢性の悪心・嘔吐に関わる経路で、

抗癌剤 → サブスタンスPの放出 → NK1(ニューロキニン1)受容体が活性化 → CTZを介して嘔吐中枢活性化。

のうち、NK1受容体に選択的に結合することでこの反応を抑制します。


新人君 「吐き気なかったら飲まなくてもいいんですかね?」


私 「イヤイヤ・・」


っと、その前に発生時期による嘔吐の分類についてまとめます。

急性嘔吐:抗癌剤投与後24時間以内に生じる嘔吐。
 → 催吐性リスクが高度の場合、イメンド(もしくはプロイメンド点滴静注)と5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの3剤併用を推奨。

遅発性嘔吐:24時間以降に生じ数日間持続する嘔吐。
 → 今回の処方目的。デキサメタゾンに加え5-HT3受容体拮抗薬を併用しても制吐効果の増強は得られない。
急性嘔吐の対処が不十分なときに起こりやすい。

予期性嘔吐:前治療による悪心・嘔吐の経験など精神的要因により生じる嘔吐。
 → 急性と遅発性嘔吐を完全ブロックし悪心・嘔吐を経験させないこと。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬が有効。


悪心・嘔吐 → 食欲不振 → 脱水、低栄養、電解質異常 → 闘病意欲低下 → 治療コンプライアンス低下。

こうならないようできる限り悪心・嘔吐の抑制。

つまり、予防が第一目的。

なので、吐き気がなくても必ず服用するよう薬剤師も説明できるといいですね。


ちなみに、2014年6月にデカドロンの4mg錠ができたらしい。

デカドロンの錠剤を他の目的で使われたの見たことない・・。

興味があれば ブログ一覧 もご覧ください。